社会圏の生成 : 社会過程の予備モデル?
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概要
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従来、集合過程を個別過程の延長として記述することは困難であるとされてきた。なぜなら、両者の間には、合理性レベルの相違、不完全情報、排除不可能な不確実性、個人―個人間・個人―集合間の相互作用の錯綜および再帰性などの問題が介在するからである。明らかに社会は、諸個人の意志および行為の集積として存在する。にもかかわらず、社会は「社会」と名指されたときから、あたかもそれ自体が主体意志をもつ仮想生命体のように、自らが自らを更新してゆく自己再製能力を獲得する。本稿では、我々の作成した社会論理モデルのコンピュータ・シミュレーションにより、個的主体間のきわめて単純な交換原理の反復適用によって、無秩序な状況から「社会圏(社会的凝集)」が自生的に生成されることを確認する。さらにこの自己準拠的過程から生ずる (1)「社会圏」の凝集の特性,(2)「社会圏」の分散/統合/階層化,(3)「社会圏」の動態の求心性/離心性などに関して様々な知見が得られた。しかし、本モデルの意義はこれにとどまらず、その容易な拡張により、自然法、権力、貨幣、都市などの生成モデルへと連結する。本稿は、こうした今後の展開の起点となるモデルを提示するものである。
著者
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