藤岡蔵六論 (中)
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概要
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前号に続いて、ここでは藤岡蔵六の一高時代から東京帝国大学文科大学哲学専修を経て大学院・哲学研究室副手時代、そして欧米留学までを扱う。はじめに一高時代の芥川龍之介・井川恭・長崎太郎らとの友情、彼らとの赤城・榛名方面への旅を記し、大学時代の芥川との親しい交流も書いた。菅虎雄邸訪問や漱石山房をくぐったことなどにも言及した。大学院から副手時代は、もっぱら研究に打ち込み、時間を惜しんで勉強する。そういう中でカントやデカルトに関するすぐれた論文が書かれる。けれども、この頃から他者への配慮を欠いた性行が目立つようになり、いち早く東北帝大の哲学教官の口を見つけ、フライブルグ大学への在外研究に出かけてしまう蔵六を、後年の彼の悲劇を頭に置いて描いた。その唯我独尊的人生観が、祖父元甫、父春叢ゆずりのものであったことも考察した。
著者
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