藤岡蔵六論 (上)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
藤岡蔵六は芥川龍之介の一高時代の友である。東京帝大の哲学専修をトップで卒業、大学院に籍を置き、哲学研究室の副手をつとめたこともある。その後ドイツに留学、エドマンド・フッセルにつき、哲学研究に従事した。が、帰国後内定していた東北帝国大学に就任できないという事態が生じる。そのプロセスは出隆の「藤岡事件とその周辺」(『出隆自伝』)にくわしい。失意の中で藤岡は新設の甲南高校に行くが、体を壊し、教師生活も全うできなかった。芥川は藤岡を「常に損をするは藤岡の悪き訳にあらず。只藤岡の理想主義者たる為なり」と言い、さらに声を大にするかのように「世間は藤岡を目して辣腕家と倣す。滑稽を通り越して気の毒なり」とも言う(エッセイ「学校友だち」)。本稿は芥川のエッセイに導かれ、一人の不遇な哲学者の生涯に光りを当てる試みである。
著者
関連論文
- 成瀬正一の道程 1 : ロマン・ロランとの交流
- 遠藤祐著『宮澤賢治のを歩く』, 2005年7月25日発行, 双文社, B6判, 238頁, 定価 3400円+税
- 藤岡蔵六論 (中)
- 成瀬正一の道程 2 : 松方コレクションとのかかわり
- 二人の将軍 : 芥川龍之介の歴史認識
- 藤岡蔵六論 (下)
- 藤岡蔵六論 (上)