脳卒中片麻痺患者の退院先に関わる機能・能力障害,経済状況,および家族状況

概要

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脳卒中患者の機能・能力障害や社会的条件と病院からの退院先(自宅か, 他の医療機関や施設)との関連については, 既に多くの報告がある。本研究では, 脳卒中患者の退院先に関連があると思われるいくつかの要因について再検討することを目的に1989年から1995年の足立共済病院(東京都足立区, 病床数80)の理学療法診療録を調査, 検討した。その結果, 1)患者の同居家族の人数と退院先(自宅か, 他の医療機関や施設)のクロス集計表のPearsonカイ二乗検定から, これら2変数が統計学的に有意な関連はみられなかった。(p>.05) 2)従属変数を退院先(自宅退院群および非自宅退院群)とし, カテゴリー共変量を患者の(1)性別, (2)年齢, (3)麻痺側, (4)歩行能力, (5)トイレの自立度, (6)同居家族人数, (7)生活保護受給の有無, (8)入院期間として多重ロジスティック回帰分析で解析した結果, 非自宅退院となる要因の重みづけは特にトイレの自立度に強く依存し, トイレの自立度が「自立」者を基準とした場合に「おむつを常用していた」者のodds比は61.47 (95%信頼区間8.13-464.85 )と有意に高く, 「おむつを常用していた」者が非自宅退院となる確率が極めて高いことが示唆された。