地域開発と環境保全-丹生川村にみる地域振興開発と自然環境保全条例について
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概要
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約10年前に日本列島全体がリゾート開発に熱中するバブル景気が起った。その時点でリゾート地域の候補を国に提出しなかった数少ない地方公共団体の一つが岐阜県である。岐阜県がリゾート法を適用するための要件を満たす候補地を所有していなかったことは今日となってはむしろ幸いであったといわなければならない。リゾート法は欠陥を多くかかえた未熟な法であり,この法が適用された地域の開発は,大きな問題を残した所が多いからである。岐阜県の高山に隣接する丹生川村は,その地の利からいえば交通の便がよくない寒冷地である。しかし夏は日本有数の高所にある乗鞍スカイラインを訪れる観光客,冬は村内数ヵ所に作られた朴の木スキー場をはじめとする各スキー場への入込客によって人口が少ないわりには経済的に活気のある村として注目される。丹生川村は過疎地に位置するにもかかわらず,その独自的主体的立村プランによって,活気のある農業と観光の村に変豹しつつあるユニークな存在として注目される。地形や地理的諸条件を有利に生かした農業政策によっていま日本一トマトの村として有名となり,エアポート(農道離着陸場)の開業によって,新鮮野菜を即日東京や大阪の大消費地へ空輸する体制がつくられた。村野財産である豊かで美しい自然を守ることを共通の課題として,村をあげての「花いっぱい運動」や「フラワーロード」作りが成功し受賞している。第4次総合計画では,農村としてのさらなる魅力を整備しようとして,国と県の事業対象となる「乗鞍郷地区中山間地域農村活性化総合整備事業」が計画された。自然環境保全条例の制定の伴う開発規制が行われるなかで,「美しい農村」として次には「景観保全条例」の制定が実現しようとしている。新しい村づくりのモデルケースとして紹介したい。
- 1997-03-19
著者
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