教育行政の地方分権ー自治体における「地域教育会議」を中心にー
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概要
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21世紀に向けての教育政策動向は,地方自治法や地方教育行政法等を含む「地方分権一括法」の制定により,「教育行政の地方分権」の諸条件も定整備し,「教育行政への住民参加」制度や「学校評議員」制度の創設による学校改革を現に進めてきている。戦後の地方教育行政の主要な推移は,教育委員会の「公選制」から「任命制」への改編,その中央集権的動向に歯止めをかける地方自治体独自の取り組みとして,80年代の東京中野区での「教育委員準公選制」,90年代の川崎市や高知県での「教育住民会議・地域教育会議」,さらには子ども・父母住民を含む「四者構成・学校協議会」等が,行政当局と住民の協議に基づく「条例・要綱・規則」の制定によって,創設・制度化されるまでに至っており,この影響は今回の「地方分権」改革法制の活用如何によって各地に一層の広がりをみせることが予想・期待される。本論は,今後の「地方分権」化の「方向づけ」について検討するもので,内容的にはそれを,公選制・準公選制の方向に加え,「教育住民会議・地域教育会議」創設の方向,畢意,「教育行政への住民参加・住民自治」の方向に求め,その現代的課題性と意義を,先の川崎市,高知県,その他,埼玉県鶴ケ島市などの実例を踏まえ,論証しようとするものである。またその際,川崎市や高知県では「四者構成・学校協議会」を設置・制度化してきている事実に照らして,学校改革と行政改革は「車の両輪」であり,今後の改革の本道はその改革主体を「住民」に据える方向とならざるを得ないことを本論は追求・論証するものでもあること,を付言しておく。
- 大垣女子短期大学の論文
- 2001-03-20
著者
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