『格物窮理問答』の成立と本文
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概要
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ロンドン伝道会宣教師ミュアヘッド(William Muirhead)訳『格物窮理問答』(上海,1851)については従来,書名のみ知られていたが,所在は不明で,その内容について知ることができなかった。筆者は研究プロジェクトに従事中の2000年1月,日本の古書店を通じて,同書の写本1冊を購入することができたため,ここに活字翻刻して同書の内容を紹介することにする。書誌的検討から,原本についても,オランダの牧師で教育家マルチネット(J.F.Martinet)の『児童のための自然についての問答』(1779)の英訳本のジョイス(J.Joyce)による増補版(1818)であることを確かめた。『格物窮理問答』の原本はキリスト教信仰より,自然のしくみを児童・生徒に教え,造物主である神の偉大さと叡智を知らしめることを目的に編集されたもので,原著者の母国オランダのみならず,広く英米にても多くの読者を得ていた。ミュアヘッドは英国で教育を受けたときに読む機会をもち,中国に来たのち宣教活動を進展させるため翻訳したと推測される。1冊のうち半分近くが生物分野で占められており,リンネの分類体系も紹介され,中国における初めての西洋生物学の入門書と言ってもよいことがわかった。
- 青山学院女子短期大学の論文
- 2001-12-25
著者
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