<原著論文>心筋カルシウム電流に対するニソルジピンの抑制様式
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概要
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ラット心臓から単離した単一心室筋細胞を用いてパッチクランプ法による全細胞膜電位固定を行い,Ca電流に対するニソルジピンの抑制様式を調べた。脱分極パルスで誘発されたCa電流は,ニソルジピンによって各膜電位においてほぼ同程度に抑制された。電流のピーク値への到達時間および不活性過程の速い成分には変化は見られなかったが,遅い成分は脱分極側でわずかに促進される傾向にあった。この抑制はチャネルが静止状態にある膜電位においても見られ,脱分極側ではさらに増強された。チャネル不活性化の電位依存性曲線も,前電位の延長に伴って過分極側に変位した。ニソルジピン存在下,反復刺激の効果は刺激頻度よりも刺激時間の延長によって著明な抑制が見られた。これらの結果から,ニソルジピンは不活性状態のみでなく,静止状態にあるCaチャネルに対しても電位依存性に結合してCa電流を抑制することが示唆された。
- 順天堂大学の論文
- 2003-03-29