指先の力発揮に伴う皮膚接触面積の変化

概要

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指先で発揮される力と, その力によって変化する物体との接触面積との関係を調べることにより, 指先の皮膚特性を明らかにし, かつ指先の接触面積情報が摘み力の制御機構に利用されている可能性について検討した。結果は以下に示すとおりである。(1)指先の力発揮に伴い, 接触面積は指数関数的な変化を示し, 性差, 年齢差はみられなかった。(2)各個人の最大接触面積に対する相対接触面積と力発揮との関係では, ほとんどすべての被検者が, ほぼ類似した指数関数的変化曲線を示した。(3)同一個人の5指間の相対接触面積と力発揮との関係では, きわめて類似した指数関数的変化曲線を示し, 特に拇指と人差指では, かなり一致したものであった。(4)これらの結果は, 摘み力の制御に接触面積情報が利用されている可能性を示唆するものであり, 個体間では10%∿20%の誤差はあるが, 相対接触面積に基づく力のスケールが存在する可能性が推察された。このスケールは, 個人内においては, ただひとつであり, どの指も同じスケールを利用している可能性が示唆された。
1994-03-01