<原著>Thomas Hardy の小説に表現されたsexual metaphor について
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概要
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19世紀の英国では, 福音主義的ビクトリア朝の厳しい道徳律によって「性」を, 社会秩序を乱す要因の一つとして, 急激・過度の開放はこれをタブー視した.従って, その表現は作者自身の抑制と社会全般からの抑圧が常に働き, 主題深化の内容の場においても直接的な記述や言葉は封じこまれてきた.しかし, 文学で, 男女の性愛を抜きにして人間性(ヒューマニティ)と, その営みを物語ることは困難である.そこで, 極めて婉曲的で創意工夫された描写が, 新しい思潮と時代認識の流れを鋭敏に汲み取っていく作家たちによって切り拓かれていったのである.この小論では, 19世紀末の作家の一人, Thomas Hardyを取り上げる.彼は, 人間自然の本能と性的欲望が生の中心的役割を果たすものであることを見つめ直し, ビクトリア朝時代の「性」の封建制にメスを入れようと果敢に立ち向かっていく.Hardyが詩的想像力を励起し, metaphor, symbol, allusionを駆使した性的描写の例証をあげ, その感覚の所在と, 構築と詩情性を追っていくことにしたい.
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
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