<原著>パブロフ学説にみる臨床心理学的意義 : とくに, 潜在的機能状態と動的ステレオタイプについて
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概要
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学習理論に端を発する行動療法には, パブロフ学説が充分に反映されていないように思われる.学習理論のなかでパブロフ学説は, 古典的条件づけとして熟知されている.しかしながら, パブロフ学説への関心は, 方法論にのみむけられ, その理論にまで及んでいない.こうした状況は, パブロフ学説を支える実験が, 比較的長期間にわたってなされ, また, それらの実験の多くが厳密さを欠いているため, 追試が困難であったことに起因しているように思われる.パブロフ学説における中枢神経系の「潜在的機能状態」と「動的ステレオタイプ」の概念は, われわれが「構え」や「習慣」と呼ぶところのものである.少なくとも, パブロフ学説は, 構えや習慣についての生理学的な基礎を提供してくれている.「構え」や「習慣」についての概念を行動療法に導入することは, 刺激・反応の枠組みに, 柔軟性をもたらす新たな視点となりうる.そこで本稿は, パブロフ学説における中枢神経系の「潜在的機能状態」と「動的ステレオタイプ」にかんする知見を概観し, こうした知見が臨床心理学に新たな視点を提供しうる可能性について言及するものである.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 2000-06-26
著者
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