アポトーシスに関する研究(2) : 食品成分がアポトーシスに及ぼす影響
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概要
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食品摂取や動物実験などを用いたin vivo系において,食品に含まれる成分とアポトーシスとの関連,例えばガン細胞に対するアポトーシス誘導に有効な食品成分が示唆される研究報告を集め,食品成分毎に作用や機能を検討した。食品中の抗酸化物質とアポトーシスとの関連,実験に使用された細胞名,摂取した食品名や試料の食品名を一覧表にまとめたところ以下の結果を得た。食品成分のうち抗酸化物質とアポトーシスの関連を示す報告は見られたが,その他の成分については,研究がほとんどなかった。中でも抗酸化作用をもつポリフェノール類がアポトーシスに影響を及ぼすことを示す報告が最も多かった。特に緑茶,烏龍茶,紅茶など,お茶に含まれるポリフェノール類が,ガン細胞のアポトーシスを誘導する効果や,カスパーゼを活性化する効果が認められた。お茶以外の食品では,グレープフルーツ,レモン,ぶどう,柿など果物に含まれるポリフェノールや,野菜に含まれる植物フェノールなどの抗酸化物質が同様の効果を示した。抗酸化ビタミンでは,アスコルビン酸やトコフェロールのアポトーシスへの関与を示す報告が見られた。特に,トコフェロールは,アポトーシスの実行過程だけでなく,制御過程にも作用していたが,その作用機構の詳しい解明までは至っておらず,今後の課題である。これらは,カスパーゼー3の活性増大やシトクロムCの放出,DNA断片化を引き起こし,その結果アポトーシスを誘導する作用機構に関与していることは明らかであるが,これらのデータだけでは細胞の増殖反応の亢進や抑制など制御に関わるかどうか明らかではない。抗酸化物質以外の食品成分についても作用機構を早急に検討していく必要がある。
- 2002-03-22
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