50歳の国連 : 難問抱える平和維持活動
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概要
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「(中略)人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い(中略)国際の平和及び安全を維持するために力を合わせ(中略)すべての人民の経済及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して(中略)われらの努力を結集することに決定した(中略)」という前文を掲げる憲章が起草されて以来50歳を迎えた国連は多くの難題を抱えながら,次の半世紀へ向かって歩もうとしている。第二次大戦後,この前文にあるように,国際社会の平和と安全維持のために生まれた国際機関であるが,冷戦終結後は地域紛争の多発という創設時には想像もされなかった状況に直面し,平和の道筋を明確に示すことができなくなったと危倶されている。1945年6月,50カ国が国連憲章に調印して以来加盟国数は現在185カ国を数えるまでに増加し,国連に期待する気運は一層高まったと言えよう。そして,全加盟国を従わせる権限を持つ主要機関である安全保障理事会の今後のありかたが最も注目されることになる。冷戦時代には,安保理(5常任理事国-米・英・仏・中・ロ及び10非常任理事国)において,拒否権行使が乱発され,その平和維持機能を十分に発揮できない時期があった。冷戦構造の崩壊後は,大国間に協調の兆しがみられ,一繧の望みが抱かれた。しかし,地域紛争の多発で国連の平和維持機能の前途には新たな難題が横たわり,その無力さと限界が加盟国間で批判されるようになった。国連の専門機関などによる途上国に対する開発援助の面では多大な成果をおさめているものの,その業績が陰を潜める結果となっている。本稿では,この50年という節目の年に,平和維持機能の問題点のいくつかを分析するものである。従って,次の問題に焦点をあてることになる一国連の介入,現行の平和維持機能原則,米国の立場,予防外交,安全保障理事会,平和維持の負担,核拡散。
- 北海道東海大学の論文