国連平和維持機能の真相を探る
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概要
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冷戦の終結後も新しい世界秩序をもとめて, 国連は討議の場として全世界の注目を集め続けている。とりわけ, 安全保障理事会は多発する地域紛争を終結, もしくは, 未然に防ぐべく必要な決議を採択する。主要加盟国による交渉や外交の展開は目まぐるしく, これまで以上の重要性をおびている。国連は危険な事態が発生し, 戦争拡大につながる状況において, 対立当事国に対して武力に訴えずに, 話合いのテーブルにつくことを今日まで説得してきた。戦闘の停止, 平和の回復へと, 挫折こそあれ, その調停を通じて, 平和維持機能をそれなりに果してきた筈である。しかし, 近年になり, 国連平和維持活動は新しい事態に対応せざるを得ないせいか, 批判される場合が多くなった。ブトロス・ブトロス・ガリ国連事務総長は1992年に発表した「平和への課題」の中で軍事力の行使の問題で, 憲章42条に言及し, 次のように述べている。"国際の平和と安全を維持または回復するために軍事行動を取る権限を持っている。この種の行動を取るのはあらゆる平和的手段が失敗した場合のみでなければならないが, 国際の安全を保障する機構としての国連の信頼性にとっては, こうした行動も辞さないという選択権を持つことが肝要である。"さらに, 停戦が合意されても守られないことがあることから"peace-enforcement units"(平和執行部隊)の考慮も勧告している。"この種の部隊は平和維持軍よりも重装備のものでなければならず, 各国の軍隊で広範囲な準備訓練を受ける必要がある"と述べている。本稿では, その国連平和維持活動で最近特に論議される, ソマリア, ボスニア, 中東など, 紛争解決の問題, 安全保障理事会の動向, 国連と米国や日本との関係及び役割などを執筆現時点(10・25・93)で考察するものである。
- 北海道東海大学の論文