膵ホルモンによる外分泌膵導管系細胞機能調節機序の解析
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概要
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膵ホルモンは,外分泌膵に対し種々の調節作用を有しているが,膵導管細胞及び腺房中心細胞に対する作用は十分に解明されていない。本研究では,ラット摘出膵灌流標本を用いて,セクレチン(10pM)刺激による膵液及び蛋自分泌反応に及ぼすインスリン,グルカゴン及びソマトスタチンアナログSMS 201-995の影響を検討した。インスリンは,単独では膵外分泌反応に影響を及ぼさなかったが,セクレチン刺激による膵液分泌反応を濃度依存性に増強し1μMインスリンで増強作用は最大となった。インスリンは,セクレチンと同じくcAMPを細胞内メッセンジャーとする血管作動性腸管ペプチドによる膵液分泌反応も増強した。セクレチン刺激下の膵液分泌に及ぼすインスリンの増強作用はウアパインにより濃度依存性に抑制され,インスリンの増強作用にNa^+,K^+-ATPase活性の関与が考えられた。グルカゴン(100nM) は,セクレチン刺激による膵液分泌反応を有意に抑制し,蛋自分泌に対して抑制傾向を示した。SMS 201-995は濃度依存性にセクレチン刺激による膵液及び蛋白分泌反応を有意に抑制し, 1-1OnMで最大抑制効果が認められた。本研究の結果,膵ホルモンは膵腺房中心細胞や導管細胞の外分泌機能に対して調節作用を有していることが明らかとなった。
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