正規母集団からの順序統計量の積積率について II
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概要
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母数を推定するのに順序統計量を用いて推定することがよくあるが(たとえば, レンジ, メディアン等の利用), その統計量の積率が計算できないと, より良い推定量を求めることができない。一様分布, 指数分布のような, 分布関数(comulative distribution function, c.d.f.と略)が簡単な分布については, 順序統計量の確率密度関数(p.d.f.)もまた容易に与えられるため, それらの積率も比較的簡単に求めることができる。しかし, 正視分布の場合には(日常, 非常によくあらわれる場合であるが), c.d.f.の具体的な関数型が求まらない。そのため, 正規分布の場合には多くの人々によって種々の工夫がなされてきた。なかでもH. Rubenは, 幾何学的な解釈のもとに, k次元球面上のrelative contentに対するL. Schlafliの結果を用いて, 積率を補助的な関数Ψ_l(θ)の1次結合で与えることに成功した。しかし, 彼の方法では積積率を求めることができない。これに対して宮川および石川は, H. Rubenの結果を解析的に導くことに成功しその方法で2次の積積率をも求め得ることを示した。本論文は, その結果をさらに拡張し, r次(r≧3)の積積率が前論文で示した方法により, 同様に補助関数で表わし得ることを示すことである。計算機により直接数値積分を行なうとすれば, 非常に多くのパラメーターを動かさなければならない。ましてや積積率となると多重積分となり直接計算は不可能となる。その意味で, 積積率を基本的な補助関数の関数として表わすことは非常に意味のあることである。これらの関数は低次を除いては初等関数で表わすことができないが, Ψ_l(θ)については, H. Rubenによる数値積分の結果がある。本論文においては, さらに別の関数がいくつか現われるがそれらはΨ_l(θ)とまったく類似のものである。§1において, H. Rubenの結果を解説しさらにそれに対する宮川および石川の方法を簡単に示した。§2では一般の順序統計量の積積率について, その積分形を与えた。([5], [6]参照)§3および§4において, r次(r≧3)積率を補助関数で表わす解析的な方法を示すと共に, 3次の場合の具体的な式を与えた。4次以上の場合は, 低次の結果を用いて, 3次の場合と同様の方法により求められる。
- 湘南工科大学の論文
- 1974-03-31