ある重複障害児の外界との関係行動の分析 : VTRによる行動観察を中心に
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概要
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本報告は,視覚障害を伴った重複障害児A君を理解することを目的に,行動観察を行なった。観察場面は,プレイルームでの自由遊び,教室での課題学習,近隣幼稚園との交流学習の3場面である。VTRを使用し,各々30分ずつ収録して分析資料とした。A君の行動を文字化しカテゴリー化を行なったものに,この資料の時系列情報を入れ,分析した。その結果,A君の外界との関係行動を分析して次のことが明らかとなった。(1)A君は,場面の状況によって,行動が大きく影響を受ける。(2)盲児が安定した姿勢や心理状態を維持するためには,いわば空間定位的といえる行動が,重要な意味をもつと考えられる。(3)観察の視点は,自傷的行動,常同的行動,自己刺激的行動,空間定位的行動,対物行動,対人行動,言語,姿勢・粗大運動の8カテゴリーが考えられた。
- 1990-03-12