開水路における粗度係数の評価 (第1報) : 開水路における人工粗度の実験的考察
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概要
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人工粗度に関する理論ならびに次元解析をおこない, さらに相対粗度密度Ф=S/Fを7種類にかえた水理実験をおこなって, その抵抗特性を明らかにし, NIKURADSEなどの実験に固執しないで粗度形態との関係を明らかにできる実験定数を決めた。1) CHEZYの抵抗関数C/√<g>と相対粗度y_n/kの[figure] [figure]関係はつぎのように表わされる。ここに, C_2は相対粗度密度Ф=S/Fの関数である。また新規にroughness [numerical formula] parameter εを導入することによって, 上式はつぎのように表わされる。[numerical formula] εは粗度高kと相対粗度密度Φ=S/Fとの関数であり, 相当粗度k_sとはつぎの関係がある。[numerical formula] 2) 本実験に用いた粗度様式はいわゆる点状粗度(イボ型粗度)の抵抗特性を有しており, イボ型粗度の場合, 粗度要素の流れ方向の厚さがかなり大きな影響力をもつものと考えられる。すなわち, 薄肉粗度要素の場合, CHEZY抵抗関数の関係式における対数項の定数は完全後流干渉流である砂粒粗度の値(A=5.75)に近く, 厚肉粗度要素の場合, その定数の値が大きくなる傾向を示すものと考えられる。この点に関しては, さらに今後の研究に待つべきものが多い。3) Eq. (4-1)は, 実験した粗度と流れの範囲ではMANNING公式よりかなり正確に表現できることがわかり, また相対粗度y_n/kによるMANNING公式の適用範囲を明らかにできた。4) 人工粗度のように粗度の大きさや相対間隔が重要と考えられる壁面粗度の場合, 砂粒粗度の場合と異なり, REYNOLDS数も影響してくることがわかった。5) 本実験の範囲では, CHEZYの抵抗関数とFROUDE数はつぎのような関係式で表わされることがわかった。[numerical formula] 6) 以上の考察摘要は, 厳密には等流と認められない流れの状態で得られた数少ない実験資料をもとにし, しかも粗面水路であることと, 側壁の効果を考慮せずに解析したものであって, なお普遍性を高めるため, 今後この種実験を重ねて, 定数Aや相対粗度密度εなどについて, 壁面粗度, 側壁の効果, 水路断面形などに応じた一般性のある数値を与えることができたら, 開水路流れの抵抗法則がさらに明らかになるものと考える。
- 神戸大学の論文
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