牛脱灰骨由来骨形成因子に関する実験的研究
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概要
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異種脱灰骨基質が有する軟骨, 骨誘導能を検索する目的で, ウシ及びヒト脱灰骨のラット頭頂部骨膜下移植実験を行い, 軟骨・骨形成頻度を同種脱灰骨と比較した。次いで, 骨形成因子活性画分をウシ脱灰骨から抽出, 部分精製し, ラット筋肉内での活性検定及びSDS電気泳動による分子量の推定, 更に, ラット頭頂部骨膜下投与実験を行った。その結果, 1)脱灰骨の骨膜下移植では, 異種脱灰骨による骨形成頻度は同種に比べて少なく, 形成時期も遅れる傾向にあったが, 同種と同様の軟骨性骨形成が認められた。2)骨形成因子活性画分はウシ脱灰骨から4M塩酸グアニジンで抽出され, 脱イオン水透析により沈澱として回収された。3)活性画分はリン酸濃度が0.15Mの6M尿素中でハイドロキシアパタイトに吸着しリン酸濃度が0.25Mで溶出した。4)活性画分を筋肉内に投与すると3週後に軟骨形成と一部に類骨形成を認めたが, 他の画分やアルブミン投与群では軟骨, 骨形成は認められなかった。5)電気泳動所見では, ウシ脱灰骨由来骨形成因子の分子量は約18,000と推定された。6)活性画分をペレットとして骨膜下に埋入投与すると2週後では旺盛な軟骨形成が, 3週後では骨髄を伴う骨形成が認められた。7)活性画分を懸濁液として注入投与した場合には一部の個体で骨形成が認められたが, 骨形成頻度はペレット群に比べ少なかった。
- 東北大学の論文
- 1985-12-25