広汎な潰瘍形成とCytomegalovirus感染症を伴った悪性リンパ腫の一剖検例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本症例は, 59歳男性で, 1981年6月左頸部リンパ節の生検の結果悪性リンパ腫と診断され, 化学療法の効なく肺炎を併発して死亡した。剖検の結果, 各リンパ節の腫脹とともに, 舌, 胃, 盲腸に大小の潰瘍が認められた。潰瘍部を光学顕微鏡で観察すると, 潰瘍部およびその周辺の結合織中の小血管内皮細胞にCytomegalovirus(以下CMVと記載)の核封入体が認められた。またその封入体を電子顕微鏡で観察すると被膜を有するウイルス粒子が多数確認された。この他, 光顕的に副腎, 膵臓, 肺にも認められウイルスの血行性伝播を示唆した。また口腔領域では, 舌の潰瘍以外に舌内小唾液腺, 顎下腺の導管上皮細胞にもCMVの感染が認められた。以上のことから, 舌を初めとする広範囲な潰瘍形成は, CMVの小血管内皮細胞侵襲による血管破壊に伴う循環障害の結果生じたものと考えられた。
- 東北大学の論文
- 1983-12-25
著者
関連論文
- 口底部に発生した神経鞘腫の1例
- 左側耳下腺に発生した単形性腺腫の1例
- 広汎な潰瘍形成とCytomegalovirus感染症を伴った悪性リンパ腫の一剖検例
- 2.CMV感染を伴った悪性リンパ腫の一剖検例(第2回東北大学歯学会大会講演抄録)(一般講演) : 舌潰瘍形成を中心として
- レーザ照射によるう蝕抑制の実験的研究
- レーザーと歯科 (医用レーザー)
- 43.Nd:YAGレーザー照射による露出象牙質面の変化について(I)(一般講演要旨,第24回 春季日本歯周病学会)
- レーザー光線の泌尿器科領域への応用 : 第2報 光導系を用いた摘出尿路結石の破壊実験
- 著明な肺転位を伴った下顎の悪性エナメル上皮腫の1例
- 下顎関節突起の骨軟骨性外骨腫 (骨軟骨腫) について : 自験例と文献的考察
- 最近5年間の顎骨嚢胞に関する臨床統計的観察 : 特に原始性嚢胞の鑑別診断について
- 下顎両側に生じた単純性骨嚢胞の1例
- 下顎歯肉と膀胱にみられた重複癌の1例
- 原発巣不明顎下リンパ節転移癌の検討
- 父娘にみられた基底細胞母斑症候群の2例
- 顎骨中心性に発生したPseudosarcomatous carcinomaの1症例
- 上顎骨に発生した孤立性形質細胞腫の1例