Streptococcus pyogenes T12株細胞質膜より分離されたスーパー抗原CAPの生物学的特徴とCAP刺激により誘導されるTリンパ球の検討
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概要
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スーパー抗原は多数のT細胞の増殖と活性化を誘導する。そして, 活性化したT細胞から産生される過剰のサイトカインは, 本来生体の防御機能である免疫反応を担う。しかし, 過剰のサイトカインが産生されることで, サイトカインネットワークを撹乱し, 組織傷害を引き起こす可能性がある。本研究では, 口腔内にも存在するStreptococcus pyogenes由来のスーパー抗原cytoplasmic membraneassociated protein(CAP)とStaphylococcus aureus由来のスーパー抗原staphylococcal enterotoxinB(SEB)を供試し, それらのスーパー抗原刺激でヒト末梢血単核球を刺激し, 誘導されるT細胞の特徴を明らかにしょうとした。細胞膜表面マーカーの解析から, Th2型細胞のマーカーと考えられるCD30分子の発現がCAP刺激により誘導されるのに対し, SEB刺激では誘導されないことが明らかになった。また, RT-PCR法によるサイトカインmRNAの解析では, SEB活性化T細胞にIL-2とIFN一γのmRNA発現が認められたたのに対し, CAP活性化T細胞にはそれらのmRNA発現は認められず, IL-6mRNAの発現が明確に認められた。これらの知見は, SEB刺激で誘導されるT細胞はTh1型であるのに対し, CAP刺激で誘導されるT細胞はTh2型であることを強く示唆している。免疫学的疾患におけるスーパー抗原の関与と最近相次いで報告されている口腔細菌由来のスーパー抗原の存在を考え合わせると, 本研究の成果は口腔粘膜疾患の発症と進行の機序解明にも寄与する可能性がある。
- 東北大学の論文
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