飴にクエン酸を添加した場合の歯垢pHの変化に及ぼす影響
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概要
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飴にクエン酸を添加した場合, クエン酸がヒト歯垢深部のpHの低下に対してどのような影響を及ぼすかについて検討した。5%スクロースを含む還元麦芽糖水飴に2%クエン酸を添加した飴とクエン酸を添加しない飴をつくり, トランジスター微小電極を用いた電極内蔵法により, これら2種類の飴をなめた場合の歯垢pHの変化を測定した。クエン酸を添加した飴をなめた場合の歯垢pHの低下は, クエン酸を添加しない飴をなめた場合のpH低下よりも小さかった。クエン酸を含有した飴を溶かした溶液で洗口した場合には, 洗口開始直後から歯垢pHの低下が著しかったのに対し, 飴をなめた場合には, 歯垢のpH低下は緩やかであった。クエン酸を含有した飴をなめ始めたときの唾液の分泌速度は, 安静唾液の値より著しく高く, 4〜8倍に増加した。また, クエン酸を含有した飴をなめた場合の方がクエン酸を含有していない飴をなめた場合に比べると刺激唾液の分泌量が1.5〜2倍ほど高かった。飴をなめた場合, クエン酸の酸味により唾液の分泌が促進され, 増加した刺激唾液の酸中和作用によって歯垢pHの低下を減少させたと考えられた。本研究の結果は, 食品に適切な量のクエン酸を添加することにより, その食品の摂取による歯垢pH低下が抑制され, ひいてはその食品の齲蝕誘発性を減少させる可能性を示唆する。
- 東北大学の論文
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