飴にクエン酸を添加した場合の歯垢pHの変化に及ぼす影響-特に水素イオン濃度測定による評価方法について-
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概要
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歯垢における酸の産生は齲蝕の発生に必須の条件である。電極内蔵法を用いて, クエン酸を含む飴を摂取したときの酸産生性を検討した。飴にクエン酸を加えることにより歯垢のpH低下が抑制されることについて前報(張平 : 東北大学歯学雑誌14 : 201-206,1995)で報告した。今回は, さらに被験者の数を増やし, 三つの評価方法, 即ち, 最低pH値, 特定pH(5.5,6.0,6.5)とpH低下曲線で囲まれた部分の面積値, 水素イオン濃度の変化に基づく値を用いて, クエン酸による抑制効果を確認した。今回用いた評価方法のうち, 歯垢内水素イオン濃度の変化に基づく方法が食品の齲蝕誘発性を評価する上で最も適していると考えられた。クエン酸を含む飴を溶かした溶液を洗口したときには, 飴そのものをなめたときよりも歯垢のpHが著しく低下した。このことは, 組成が同じ食品でも, その形態が異なれば, 齲蝕誘発性も異なることを意味する。また, 歯垢pHの変化に対して唾液が大きく影響することが明らかになった。今回の研究により, 飴にクエン酸を加えた場合の抑制効果は唾液の緩衝作用とともに, 分泌量が増加した唾液に希釈されて口腔内あるいは歯垢内の糖濃度が低下したことに基づくと考えられた。
- 東北大学の論文
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