MRL/lprマウス関節炎に関する組織学的・免疫組織化学的研究 : 膝関節および顎関節における滑膜・軟骨・骨病変の比較
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概要
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MRL/Mp-lpr/lpr(MRL/lpr)マウスは慢性関節リウマチ(RA)のモデルとして研究されてきた。今回, 発生学的に異なる関節, すなわち膝関節と顎関節における関節病変について, 組織学的・免疫組織化学的手法を用いて経時的に観察し, 発症前後を比較・検討した。膝関節, 顎関節とも滑膜表層細胞は月齢が進むにつれて増殖し, 5か月齢では滑膜への好中球・リンパ球の浸潤が認められた。また, 両関節には共に血管病変が認められた。軟骨破壊は膝関節ではごく軽度であったが, 顎関節では月齢が進むにつれて, 下顎頭軟骨の軟骨基質のII型コラーゲンの減少および1型コラーゲンの増加が認められた。顎関節では明らかな骨破壊は見られなかったが, 膝関節においては靭帯付着部付近の関節腔と骨髄腔が交通している部位(正常対照マウスであるMRL/+にも存在し正常な形態と考えられる)の骨辺縁における凹凸不整の吸収窩様部位と, 関節軟骨下骨が薄くなって骨髄腔と関節軟骨が近接し, 骨髄腔の骨表面が凹凸不整を呈する部位に, Mac-2陽性のマクロファージ様単核細胞が集蔟していた。以上の結果から, 2つの関節部での軟骨の変化の違いは, 発生の差異に起因し, 軟骨細胞の性状の違いが軟骨基質の変化の差をもたらすと考えられた。また, 骨破壊に関しては, 破骨細胞によらない, 単核のマクロファージによる破壊が示唆された。
- 東北大学の論文
- 1993-12-28
著者
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