<原著>日・英におけるプロフェッショナル・スポーツの成立形態に関する比較社会学的研究序説 : 分析枠組設定のプロセスから
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概要
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今日,アマチュア・スポーツのプロ化現象が様々に取り沙汰され批判されている中で,プロ・スポーツの成立を前提としてスポーツの制度的発展とその因果関係を論じた研究は極めて少ない。 本研究では,歴史社会的現象としてのプロ・スポーツの成立をどのように捉え分析していくべきなのかの課題を前提としながら,特に,E.ダニング(E. Dunning)等が研究した英国プロ・ラグビーの成立をモデル・ケースとして,そこでの分析枠組設定の中心的視点からわが国におけるプロ・スポーツ成立(ここではプロ野球の成立)のための研究視点を検討し,それらに基づいた両者のケースを比較可能にする分析枠組を設定しようとする。そこで,国際比較研究をめぐる方法論的課題として比較のための共通基準,モノ差しの重要性を認識し,英国における階級対立的視点による日本の場合への理論妥当性を検討した。その結果,下冷の比較研究を可能にする包括的な説明的視点として,プロ化の進行に関連づけられる階級的状況(外的一社会的な利害状況)と身分的状況(内的一心理的な利害状況)との相剋,親和のダイナミックス,及びそれらを規定要因とする布置連関を明らかにすることの重要性が示唆された。また,これらの概念構成は,スポーツを制度としてとらえていく制度論的認識に基づく名目的な分析視点を示すことにより初めて可能となることが理解され,日・英双方におけるプロ・スポーツ成立に関連した制度的連関性の共通性,異質性の析出とその因果連鎖の解明が今後の課題となることが指摘された。
- 1989-03-31
著者
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