精神分裂病の表現精神病理学の音楽療法への応用
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概要
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精神分裂病の表現精神病理学の音楽上の特徴として、音楽鑑賞での調査からは、拍子感が明瞭、構成が単純、テンポの安定した有名な曲への好みと、構成やリズムが複雑で、テンポの変化の大きく、暗く劇的な曲への抵抗が認められた。また、音楽療法の合奏や歌唱の場面からは、リズム性の後退、リズムのパターン化しやすい傾向や、適度な情感のこもった歌唱の難しさなどが確認された。しかし、一定のテンポを維持する能力や和音進行を合わせる能力は、病前に楽器経験がある場合、比較的保たれていた。これらの音楽上の特徴は、精神分裂病の本質とも関わっていると思われるため、これらの特徴を考慮した上で、音楽療法の治療目標やその構成を考えることが重要である。その際、治療者が彼らの音楽表現を尊重しながらも、それらに豊かさを加え、創造的な体験を共にすることにより、分裂病の症状も改善する可能性があると考えられた。
- 三重大学の論文
著者
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大谷 正人
三重大学教育学部
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山下 由夏
医療法人桜桂会犬山病院
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吉田 弘道
Inuyama Hospital
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中井 深雪
医療法人桜桂会犬山病院
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吉田 弘道
医療法人桜桂会犬山病院
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吉田 金治
医療法人桜桂会犬山病院
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滝沢 奈美
医療法人桜桂会犬山病院
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