M-3S の SMRC 装置
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概要
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SMRC(Solid Motor for Ro11 Control)は, 正反対を向く2基の噴射ノズルを持つ特殊な形態の小型固体ロケット・モータで, ノズル直上流に内蔵された弁機構によって, 一方を閉塞し他方のノズルからのみ燃焼ガスを噴射させて偏向した推力を発生し, 両方のノズルから均等に噴射させて両者の発生推力を相殺することができる。液体推進剤を用いるサイド・ジェット装置と比較して, 機構・構造が単純なため維持・管理がたやすく安価で, 小型・軽量のため飛翔体への搭載艤装の自由度が高く, 低比推力ながら比較的大きな制御力が容易に得られる等の特徴を持つ独創的な姿勢制御装置である。M-3S型ロケットでは, 4枚の尾翼先端の収納カウリング内に, それぞれの持つ2基のノズル推力軸を機体まわり接線方向に向けて搭載し, 4基を斉動させて第1段飛翔中のロール制御を担う。固体推進薬ガス・ジェネレータと噴射方向切換え用弁機構に集約されるSMRCの主要要素技術の研究開発は昭和46年から開始され, 昭和50年以降SMRCとしての形態を整えた試作機材を用いて綿密な作動試験, 燃焼試験および環境試験が行われ改良が重ねられた。この間, M-3Sへの搭載・実用化に先立って, K-10 C-5(S.50.8), L-4 SC-4(S.51.8)およびL-4 SC-5(S.54.9)の合計3機の試験機によって飛翔環境における機能・ロール制御特性の実験調査が行われ, 一層の改良・洗練が図られた。M-3S型ロケット飛翔実験のいずれの号機においても, SMRC装置はほぼ正常に作動し第1段飛翔中のロール制御を完遂したが, 完成域に達したと考えられていた同装置の実用過程において, なお, (i)一時的異常昇圧(M-3S-2号機)飛翔SMRC4基中3基の内圧が, 燃焼中期, 一時的な異常昇圧挙動を示す, (ii)推力中立点変動(M-3S-3,4号機)領収試験用SMRCの中立時推力偏向量が, 燃焼の進行に連れて次第に拡大して行く, という2点の不具合が発生した。本項では, 先ず, M-3S型SMRC装置の基本構成と動作原理を説明し, 各号機の飛翔試験結果を軸に, 上記の不具合に対する原因究明と問題解決の過程の概要を報告する。
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