第 4 報 妊婦血漿蛋白質分画の生理的臨床的意義(血清蛋白質の電気泳動法的研究)(畜産学科)
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概要
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今回は, 日本泳動学会において決定した, セルローズ・アセテート電気泳動法による血清蛋白分画定量法の「標準操作法」に従って初妊婦235名を対象として実験をおこなった結果をまとめた。1.血清(血漿)蛋白分画には「妊婦型」がある。(図6,7-1,7-2,表4∿8)すなわちAlbumin分画値, γ-Globulin値共に低値を示し, β-Globulin, α-Globulin分画値は特に高値を示している。この現象は, 乳児型によく類似している。各Globulin分画の相互関係では, α<β<γの特殊的な型を示している。2.各分画値は妊娠月数と共に段階的な変動がみられる。すなわち1)α-Globulin, β-Globulin分画 : 妊娠月数と共に漸増の傾向を示す。2)Albumin分画 : 妊娠月数と共に漸減の傾向を示す。3)φ-Globulin分画 : 妊娠月数と共に漸減の傾向を示す。4)γ-Globulin分画 : 妊娠月別には特に変動はみられない。3.A : G値1)A : G値は, 妊娠月数と共に漸減し特に妊娠7カ月は最低値を示している。2)A : G値には, 血清, 血漿共にA : G1.00以上群と同1.00以下の2群に分けられる。3)血清蛋白の場合, A : Gの上記2群について, その変動状況を妊娠月別にみると, A : G1.00以上の群は妊娠月数と共に漸減し, 同1.00以下の群は, これに反し漸増の傾向を示している。(表8,図8)4)血漿蛋白A : Gの群別変動は, その1.00以上の群では妊娠7カ月までは漸増し, 以後は漸減の傾向を示し, 1.00以下の群ではこれに反し妊娠7カ月までは漸減し, 以後は漸増の傾向を示している。4.総蛋白1)A : G1.00以上群の総蛋白値‥血清の総蛋白では非妊婦のそれよりは低値を示している。妊娠月別には著しい変動はみられない。また血漿の総蛋白値は, 血清のそれよりは高値を示している。2)A : G1.00以下群の総蛋白値‥血清の場合は, A : G1.00以上群のそれよりは高値を示し, 非妊婦のそれと近似の値を示している。また血漿の場合は, A : G1.00以上の群よりは, 全般的に高値を示している。
- 琉球大学の論文
- 1973-12-01
著者
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