沖繩における集団給食の実態調査 : I 那覇地区の事業所について(家政学科)
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概要
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本調査は, 産業給食の実態について検討したいので, 那覇地区の事業所, 9カ所を対象に実施状況, 給食施設, 栄養摂取状況について調査したが, その結果は次のようであった。1)実施状況 給食数100∿150人の事業所が多く, 昼食だけの1食給食であった。献立は単一性でキャフテリヤ式のものはない。食費は10¢から21¢と各事業所で差があるが, 事業所側が食費の半額ないし全額負担しているところが多い。給食作業員は女子が多く, 1人当り担当食数は30∿50食である。栄養士, 調理士の配置されている事業所は2カ所で非常に少ない。2)給食施設 全事業所が給食施設をもっているが, 調理場が狭く, 機械類設置の出来ないところもあった。食堂の広さも1人当り0.5m^2以下であり, 昼食時に2∿3交替しなければ, 食事が出来ない状態であった。設備は不十分で, 調理機械を有しているところは少ない。給食作業員の専用便所を設けている事業所もない。3)衛生状態 調理場の換気, 排水が悪く換気装置をしたところは3カ所だけであった。給食作業員は, 毎月1回の検便を受けておらず, 食器消毒を行なっている事業所も全くなかった。4)栄養摂取状況 熱量, 総蛋白質, 脂肪, ビタミンB_1の摂取量はかなり多く, よい成績である。しかしカルシウム, ビタミンB_2,ビタミンAの不足が目立って高く, ビタミンCの不足している事業所も多い。食品群別摂取量をみると, 穀類, 油脂類, 大豆, 肉類の摂取量は多いが, 砂糖, 卵, 乳類の摂取がきわめて少なく, 不足が目立っている。栄養比率は総カロリーに対する穀類カロリーの比率が70%以上, 総蛋白質に対する動物性蛋白質の占める比率が30%前後の事業所が多かったが, 今後は動物性食品特に卵, 乳類の摂取を高めるよう努力することが必要である。全般的に, 使用食品の種類が少なく, 食品の摂り方に, かたよりがある。献立の内容に変化が乏しい, などがわかったが, 今後の指導として, 各事業所の実状に合せた献立作成, ならびに調理法を普及することが必要であろう。
- 1967-10-01
著者
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