高年者層と若年者層の食習慣調査
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概要
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尼崎市,西宮市の生涯学習講座等に参加の高年者層204名と,阪神間に在住する学生を中心とした若年者層200名を対象に食習慣に関するアンケート調査を行ない,次の結果を得た。(1)健康状況は,高年者層においては女性の方が良いと答えた者が多い反面,良くないと答えた者も男性より多かった。若年者層では,男性・女性とも良いと答えた者が約半数を占めた。なお,肥満度は4グループとも正常範囲内であるが,高年者層女性にやや肥満の傾向が見られた。(2)食事づくりの担当者は,高年者層男性の92%の者が自分以外と答え,そのほとんどが妻であった。日頃から食事づくりに関心を持つとともに,調理の要領を覚えておく必要があると考えられる。高年者女性は90%が自分でつくると答えた。(3)健康のために気をつけていることでは,高年者順は食事,若年者順は休養であった。若年者順も第二位は食事と答え,食事への関心が示された。(4)健康のことを考えて食事をしているかについては,若年者順に比べて高年者順の方が有意にいつも考えているという結果を得た。食事と健康の関連性について高年者層の方が意識が高い。(5)健康のために現在は実行できていないが気をつけたいこととしては,若年者層・高年者順ともに運動である。特に,若年者順女性に高い値が示された。(6)欠食については,若年者順の方が欠食が多い。特に男性は32%の者が二食で済ませている。しかも満腹まで食べる傾向がみられ,一日二食で多食であることがわかった。(7)食事がおいしく食べられるかについては,全体では74%,高年者順においては81%の者がいつもおいしく食べていることがわかった。(8)高年者順の使用米の種類と麦・強化米の使用状況については,精白米以外に胚芽精米,七分搗米,五分搗米,玄米,麦・強化米と出現したが栄養的視点のみでなく,バラエティの観点,からも使用の幅を広げて行くことが必要と考える。(9)牛乳の飲用については,全体では毎日飲む者が約半数あり,高年者順にあっては,7割近くの者が毎日飲むと答え,特に高年者順女性では高い率を示した。(10)緑黄色野菜の摂取については,若年者順では,ほとんど食べない者が17%あった。しかし高年者順では全く無かった。緑黄色野菜の摂取と,海藻類の摂取および健康を考えた食事の意識において有意な関連性を認めた。(11)アルコールの飲用については,男性で毎日飲む者は高年者順の方が高い率を示したが,毎日飲むと週に2〜3回飲むを合せると高年者順と若年者順間にほとんど差がない。今回の調査では,健康意識とアルコールの飲用については有意な関係は得られなかった。これらのことから,健康的な高年者順は若年者順より健康と食生活の関連性への認識が高く,かつ健康的な食生活の実践度も高いことがわかった。今後,高年者が増えるに伴い,健康な暮しのための情報がますます必要となる。栄養指導に携わる者として,高年者の人々への正確で新しい情報を正しく伝えることに努力したい。また,若年者順にはあらゆる機会をとらえて成人病予防や骨組転症予防などの観点から,積極的な栄養指導を展開したいと考える。
- 園田学園女子大学の論文
- 1993-10-31
著者
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