戦後の家庭科教育の変遷 : 被服教育を中心として(第2報)
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概要
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昭和31年「学習指導要領家庭科編」における家庭科教育の内容上社会の状況について検討した結果,この時期の被服教育の特徴とて,次のことがいえる,1 小学校ははじめての改訂であり,生前の5分野に分けられて,その内容と項目が示された。被服の分野では「被服を生活」の項目か新たに加わり,「製作」の内容大幅に削られた。学年別の指導項目は示されていない。2 中学校では,26年版から教科書が「職業・家庭科」となり,31年版では,その目標が,職業生活・家庭生活の改善向を図ることとされた。指導内容は学年別でなく,環境・性別に応じて指導計画を立てるよう内容の細織が小された。3 小・中学校とも,指導項目に「被服生活の計画」「選択と購入」「しまい方防虫剤の使い方」が新しく加えられたのは,生活に少し余裕が出てきて,衣生活を合理的に営むための学習が必要であったことを伺わせる。4 高等学校は「家庭」は1教科にまとめられ,進路,特性に応じた教育課程を編成できるように科目を定め,科目「家庭一般」を女子の教養として履修させるようにした。指導内容は「衣生活の改善」が大きく取り上げられ,二重生活や流行の問題を考えるようになった。5 中学・高校とも,新しい繊維素材や合成洗剤の取り扱い方が組み入れられたが,「製作」の項目も多い。この時期は既成服の生産も少なく,家庭における製作が必要であったことを示しているとみることができる。以上,今回の学習指導要領の改訂は,戦後十年の社会の変化と衣生活の状況に対応して,よりよい衣生活をめざそうとする指導内容に組み替えられている。それは戦前的なものから脱皮して,戦後の新しい家庭科教育の出発点になったともいえるのではないだろうか。
- 1993-01-31
著者
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