<論文>母子相互交渉場面における対応様式の分析

概要

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母子相互交渉場面における母と子との相互の対応関係の様相をとらえるために,同一場面設定における母子それぞれの対応を問う質問紙を実施し,因子分析法によって検討した。ここでは,母親の自己認知と他者(子ども)認知との関係づけを1つの視点とした。今回は,すでに得られた(末田ら,1981)母親の対応様式の因子構造との相互相関をみるために,同じ母親群に新たに子どもの対応を問う質問紙を実施した。その結果,(1)母親が認知した子どもの対応様式は,6つの因子として抽出された。これらの因子は「従順・自制」, 「反抗・拒否」, 「譲歩」のほかは,「あそび要求」, 「おもちゃ要求」, 「空腹の訴え」というもっぱら子どもからの一方的な要求表現を内容とするものであり,幼児期の母子関係の特異性を示唆していると考えられた。(2)尺度間相関によって,これらの因子と母親の対応様式を示す因子との関係をみると,若干の性差が認められた。(3)また,母親の養育態度を「協調性」因子と「統制・無視」因子の尺度得点によって4つに類型化し,子どもの行動との関係が検討され,母親の協調的態度が子どもの従順さに関係してくることが示唆された。