<原著>血小板膜糖蛋白GPIbおよびGPVIの血管障害後の新生内膜形成についての役割 : FcRγ鎖ノックアウトマウスを用いた検討
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概要
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背景:動脈硬化および冠動脈形成術後の再狭窄では血管内皮障害後に生じる血栓形成が重要であると考えられているがそのメカニズムについては未だ不明な点が多い.血小板のコラーゲンによる活性化には膜糖蛋白であるGPIbおよびGPVIを介した刺激伝達が重要であるとされており,最近膜蛋白GPIbおよびGPVIがFcRγ鎖と結合していることが報告された.今回コラーゲンによる血小板活性化の血管障害後の新生内膜形成における役割を調べるためFcRγ鎖ノックアウトマウスを用いた血管障害モデル(血管結紮モデル)を作製し検討した.方法:FcR_γ鎖KOマウス8〜12週令,野生群(C57/BL6)8〜12週令に対しKumarらの方法を用い総頚動脈を結紮し3日後・7日後・28日後に血管断面標本を作成し,内膜肥厚面積・内膜中膜比(I/M)・狭窄率を計測した.また初期の内膜の変化を電顕で観察した.結果:FcRγ鎖KOマウスで,内膜肥厚面積・内膜中膜比(I/M)・狭窄率は,それぞれ2215±475μm^2・0.085±0.01・5.4±0.4%とコントロール群34362±3013μm^2・0.87±0.054・38.4±2.6%と比較して有意に低下していた.総括:血小板の膜蛋白GPIb・GPVIが新生内膜増殖に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
- 順天堂大学の論文
- 2002-03-22
著者
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