<原著>マウスの心筋虚血再灌流障害におけるAurintricarboxylic acidの抑制効果
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概要
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血小板活性化の初期段階においては,血小板膜糖蛋白(GP)Ibとvon Willebrand Factor (vWF)が結合することで,Sykのリン酸化を引き起こす.そこで今回著者は心筋虚血再灌流障害における血小板の役割を,GPIb-vWFの結合阻害作用を持つAurintricarboxylic Acid (ATA)を用いて検討した.マウスを用いて左冠動脈の30分虚血後,120分再灌流を行うモデルを作成した.ATA投与群および非投与群における比較では,心筋障害領域は投与群に比べ非投与群で有意に抑制されていた(P<0.01).また,再灌流後15分における血小板Syk活性は,コントロールに比べ有意に増加し,ATAの投与で抑制された.一方,vWFの血中濃度は,再灌流後に上昇したが,ATA投与では変化が認められなかった.心筋虚血再灌流障害の初期においては血小板が重要な役割を示し,その際vWFとGPIbの結合が血小板Sykの活性化に関与しているものと思われた.ATAはvWFとGPIbの結合を抑制することで,虚血再灌流後の心筋障害を軽減すると考えられた.
- 順天堂大学の論文
- 2002-03-22
著者
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