医療と権力 -レトリックを介した権力の操作について-
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概要
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本稿は医療における権力について考察したものである.ここで言う医療における権力とは,医療者の抑圧的な権力ではなく,患者が自己のうちに生産する権力のことを指す.この権力関係を分析するために用いたのがレトリックである.権力的要素をもつレトリックは対象の思考や行動を意図的に操作する.しかしその権力は権力性を帯びない.なぜならば,相手が気付かないうちに権力を行使するのがレトリックの特徴だからである.以上を踏まえ,筆者は日常的医療実践で用いられる言語行為をレトリックの視点から分析したいと考える.また,言語は単に会話を意味するものではなく,言説や記述も包含するため,本稿では医療における言説と人類学で言われる言説まで視野を広げ,両学問領域で問題とされている"権力と知識の節合"について述べたいと思う.This thesis examined the nature of power in medicine. It is not the oppressive power of the medical person, but the power in the medicine that is the power that a patient produces in himself. Rhetoric was used to analyze these power relations. Rhetoric with an element like power intentionally facilitates the thinking and behavior of the object. But, that power is not tinged with power. This is because it is the characteristics of the rhetoric to exercise power before a companion notices it. I wanted to analyze the language act used by the everyday medical practice based on the above from the point of view of the rhetoric. Moreover, language means more than just a conversation, including also discourse and description. Therefore, I extended the view of this thesis to combine discourse of anthropology and medicine. I wanted, then, to discuss about "the combination of the power and the knowledge" being a problem in both disciplines.
- 長崎大学の論文
著者
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