<原著>耳介軟骨のtissue engineeringにおける骨膜の役割

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耳介軟骨は,3次元的に複雑な形態を有するため,従来の耳介再建の治療では,未だ満足する結果が得られていない.近年,tissue engineeringの技術の進歩により,耳介再建においても,この技術が注目を浴びるようになった.しかし,十分な物理的強度を持ち合わせた軟骨再生の問題が解決されず,この技術が臨床応用される上で大きな障害となっている.そこで,本研究では,まず,耳介軟骨に特有な3次元構造を持つ軟骨再生を行うため,in vitroにて分解速度が遅く,物理学的性状が硬い特徴を有するP(CL/LA)50 : 50共重合体と仔牛軟骨細胞を組み合わせて細胞・ポリマー複合体を作成した.次に,この複合体をマウスの背部皮下に移植し,in vivoにて耳介軟骨の再生を試みた(実験1).移植後10週目および20週目において再生組織を採取した結果,細胞・ポリマー複合体から良好な3次元形態を有した再生軟骨が組織誘導された.次に,十分な再生軟骨組微量を維持し,耳介形態の支柱となる部分を選択的に骨誘導できれば,物理的強度を持ち合わせた耳介再生が可能と考えた.そこで,骨膜組織が有する骨および軟骨形成能に着目し,骨膜の付加が,ポリマーおよび細胞・ポリマー複合体に与える影響について検討した(実験2).その結果,軟骨細胞に骨膜が付加された場合,骨膜組織は軟骨細胞の再分化を促進し,新生軟骨組識量は著しく増加した.一方,ポリマーに骨膜を付加した場合,新生骨組織形成を認めた.今後,骨膜付加および軟骨細胞播種の部位や方法に検討を加えることで,より自然な3次元形態および物理的強度を有する耳介軟骨再生が誘導可能と示唆された.
近畿大学の論文
2002-10-25

<原著>耳介軟骨のtissue engineeringにおける骨膜の役割

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