<原著>胃癌組織におけるH-ras蛋白およびosteopontin蛋白発現と腫瘍細胞動態および予後との関連についての検討

概要

論文の詳細を見る
H-rasとosteopontin(Opn)はそれぞれ癌との密接な関連が知られているが, この2者の関連についてはin vitroにおけるH-rasからのOpnの誘導の可能性の報告のみであり, 生体内での関連は未だ明らかでない.本研究では, 胃癌組織におけるこれら蛋白の発現と腫瘍細胞動態および予後との関連を検討した.胃癌症例96例を対象とし, H-ras, Opn, MIB-1に対する各抗体を用いた免疫組織化学染色とTUNEL法を行い, 1)H-rasとOpnの発現の相関, 2)H-ras, Opnの発現とMIB-1 Labeling Index(MI), Apoptotic Index(AI)との関連, 3)H-ras, Opnの発現と病理組織学的事項との関連, 4)H-ras, Opnの発現におけるKaplan-Meier法と単変量・多変量解析よる生存分析を行い検討した.その結果, H-rasとOpnの発現は正の相関を示し, 共に高発現となるほどMIは有意に増加したがAIに差はなかった.病理組織学的事項において, 両蛋白共に壁深達度, ly, v, n, stageで段階が進むほど有意に高発現であった.生存分析では共に陽性細胞の多いほど生存率は不良で生存期間に関連を示し, 多変量解析の結果, H-rasの高度発現は独立した予後規定因子であった.以上より, 胃癌においてH-rasはOpnを誘導することにより腫瘍の進展に関与し, H-rasの高度発現は遠隔成績に影響を与える可能性が示唆された.
近畿大学の論文
2001-11-25

<原著>胃癌組織におけるH-ras蛋白およびosteopontin蛋白発現と腫瘍細胞動態および予後との関連についての検討

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク