<原著>新規内在性レトロウイルス関連遺伝子の血液腫瘍細胞株からの分離と成人T細胞性白血病病期における相関性の検討
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概要
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内在性レトロウイルスはヒトゲノム上に存在していることが知られているが, その生理的・病態的意義については不明な点が多い.今回我々はヒト血液腫瘍細胞株における内在性レトロウイルス関連遺伝子の分離と, 血液腫瘍症例における, その発現の検討を行い, その臨床的意義を解析した.各種動物で保存されていることが知られているレトロウイルス逆転写酵素領域に設定したプライマーを用い, 血液腫瘍細胞株における発現をPCRで検出した.DNAレベルではすべての細胞株において予想サイズに一様に発現を認めたが, mRNAレベルでは設定プライマーから予想されたサイズ以外にもPCR産物を認めた.予想サイズのPCR産物の塩基配列は, ヒト内在性レトロウイルスhuman retrovirus related sequence-Kの逆転写酵素領域と約69%の相同性を認めた.さらに, この遺伝子の発現を成人T細胞性白血病症例と健常者についてcompetitive PCRを用い定量し比較検討した.健常者では, その発現量に規則性は認められず, これまでに報告されている内在性レトロウィルスの発現パターンと同様であった.一方, 成人T細胞性白血病(ATL)症例間では, 慢性期ATLやHTLV-1キャリアー症例において高発現であったが, 急性期ATLにおいて逆に低発現であった.この事実から我々が新規に見いだした遺伝子は細胞性遺伝子として存在し, その発現の多寡はATLの病勢進行と相関することが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2000-06-25
著者
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