<総説>複雑系としての生物
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概要
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生物が複雑系として考察されている。複雑系は,系を構成する要素の間に強い相互作用があり,系を記述する方程式が非線形微分方程式となる系である。複雑系は,僅かな初期値の違いによって系の振る舞いが大きく変わる,系の変化の予測ができない,方程式に従って変化しながらもランダムなカオスと呼ばれる変化をするなどの性質を持つ。複雑系の研究方法には,三つの種類がある。それらは,「撒逸構造論」,「シナジェティックス」,「人工生命」と呼ばれる方法である。これらの複雑系科学における生命観および科学方法論が論じられている。複雑系科学は,進化,形態形成,創発性などの理解を目的として生物を探究する。これらの探究を通して,複雑系科学は,生物は散逸構造を持つ,生物の振る舞いは協同現象である,生命事象は計算過程である,などの個性的な生命観を得ている。
- 2001-06-30