<教養科論文>思考の枠組としての計算機
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概要
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認識モデルとしての計算機が, 古典科学, システム論, 現象学の認識構造と比較して, 論じられている。古典科学は, 客体と主体の二元論を下に, これらを相互に独立したものと考え, 対象を分析的かつ客観的に捉えようとする事象把握である。システム論は, 制御機械をパラダイムとする事象把握で, 客体を機能を持つ全体として把握する。このとき全体としての機能を与えるものは主体であり, 客体と主体の間には強い結び付きがある。現象学は, すべての事象を主体の意識への現われ, すなわち現象と考えをここには客体は存在せず認識主体だけが存在する。事物は, 主体の志向性に応じて様々な姿を示す。これに対して計算機モデルでは, システム論の事物に機能を与える主体の作用や, 現象学の主体の志向作用を計算機プログラムの形で客体化しようとする。すなわち計算機モデルは, 主体の認識行為を客体化する認識モデルである。
- 岐阜薬科大学の論文
- 1988-06-30