ハィデッガーの自然哲学について
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概要
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ハィデッガーの自然観は前期・中期・後期の三期に分けられる。前期は1920年代から30年代初頭に至る基礎的存在論の時代である。中期は1930年代後半からの,古代ギリシア哲学のピユシス研究による,根源的自然ピユシスという自然理解の時代である。後期は1949年以後の思惟で,ハィデッガー哲学の中心に根源的自然が捉えられた時代である。この論において,初頭の自然観として,主著『存在と時間』(1927年)に示されている実存論的に解釈された用具存在としての自然を論じる。第二に,中期の自然観として,講演『芸術作品の起源』(1935/36年)における自然観を主として扱う。この講演では,後期自然観の諸根本概念,明け透き,物の近みなどがすでに出現しているが,この論文では主に世界と大地の非覆蔵性と覆蔵性を論じる。後期の自然観として,講演『もの』(1951年)と講演『建てること 住まうこと 思惟すること』(1950年)における大地,神的なもの,四元体,物自体の近みに留まることを論じる。自然観の纏めとして最後に,根源的自然としての大地,明け透き,自然の近みに留まることについて述べる。
- 2002-03-10
著者
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