サービス概念の再検討
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概要
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わが国では、「サービス」という用語に明確な定義が存在しない。これは実務界に限らず、学会においても同様である。しばしば「モノやサービス」と一括りにされる経済的「財」に関連した使い方でも、「サービス経済化」といった社会レベルで使用される場合もあり、また「洗車サービス」といった具体的活動を表す場合もある。 こうしたサービス概念の不明確さは、財としてのサービスへの無関心さを生んできたと考えられる。このことは実務界と学会の両方に当てはまる。 本論では、「サービス」という用語を、それが使用されるさまざまのレベル、つまり経済、企業、商品、活動の4つに分けて検討し、その各々のレベルにおける意味の違いや類似性を明らかにし、また、それらの実務的なインプリケーションを探ってみたい。それにより、例えば、サービスを財としてデザインする場合、どのようなサービスの定義が適切で、具体的指針となるかを明らかにする。 なお、欧米のサービス・マーケティング/マネジメントの研究者の間では、1980年代まではモノ製品との対比においてサービスの独自の特徴を探り、そこからサービスの定義を確定しようとする研究が盛んであった。ところが90年代を過ぎるとこうした努力は終息することになった。なぜサービスの定義を目指す試みは失われたのか、この点についても上記の検討過程において考えてみたい。
- 多摩大学の論文