冠動脈ステント留置後の再狭窄予防の検討 : シロスタゾールの予防効果に関するチクロピジンとの無作為比較試験
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概要
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冠動脈疾患のステント留置の効果はすでに実証されているが,血栓症併発や再狭窄が多く,問題がある。この研究はこれらに対するシロスタゾールの予防効果を明らかにするため,現在使用中のチクロピジンを比較対照とし,前向き無作為試験を単一施設で行った。目標はステント留置後の急性,亜急性血栓性合併症,および遠隔期再狭窄に対するシロスタゾールの予防効果を6ヶ月追跡しチクロピジンと比較することである。対象は待機的ステント留置を行った130人にチクロピジン(T群 ; n = 65)かシロスタゾール(C群 ; n = 65) を無作為に投与し,両群間で患者経過,冠動脈造影所見について6ヶ月間追跡し比較検討した。結果はステント留置後早期の血栓性合併症はC群では0例,T群では2例に認めた。6ヶ月後の冠動脈造影時にはC群はT群に比べ晩期血管径損失(Late loss ; 0.28±0.40 vs. 0.69±0.79mm,P<0.01),晩期損失係数(Loss index ; 0.16±0.27 vs .0.42±0.56mm,P<0.01),再狭窄率(13% vs. 31%,P<0.05),標的血管再血行再建率(TLR ; 7% vs. 21%,P<0.05)が全て小で,副作用も(3.1% vs. 13.8%,P<0.05)少なかった。以上より結論としてシロスタゾールは,チクロピジンに比ベステント留置後の急性期,亜急性期血栓症予防効果は同等で遠隔期再狭窄予防にはより優れた効果を示し有用である。
- 2003-03-25
著者
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