口蓋裂二次手術後に摂食拒否を起こした口唇口蓋裂例

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口蓋裂二次手術後に摂食拒否を起こした口唇口蓋裂例を経験したので報告する。患児は5歳の男児で多発先天異常（耳介変形，小陰茎，脳梁低形成）があり，難聴に対して人工内耳を装着している。また，精神発達遅滞，コミュニケーション障害，自閉傾向がある。右側完全口唇口蓋裂に対して生後5か月で口唇裂初回手術（三角弁法），1歳3か月で口蓋裂初回手術（push back法）を施行した。術後，摂食を開始するまで数日間を要したが問題なく経過した。その後，形成外科において定期的に経過を観察していたが，5歳時までは発語は見られなかった。難聴に対して経過観察を行っている他施設において，鼻咽腔閉鎖機能不全（velopharyngeal incompetence: VPI）を指摘され，当科での手術を勧められた。発語が見られないこととVPIとは関連がないことを家族に説明したが，強く手術を希望したため5歳4か月時に口蓋裂二次手術（re-pushback法）を行った。術後1日目に流動食を与えたが摂食を拒否するため，その後も末梢静脈から輸液栄養管理を継続した。術後10日目で体重が1kg低下したため，小児科に転科し経管栄養を開始した。摂食拒否は心因性と考えられたため，術後38日目に抗不安薬（クエン酸タンドスピロン）の内服を開始した。術後54日目，患児，母親が経管栄養に慣れ，自宅管理可能と判断されたため退院した。退院後1週間目（術後61日目）にパンを食べ始め，術後70日目には摂食状況は良好となった。精神発達遅滞などを伴う患児に口蓋裂二次手術を行う際にはその手術適応を十分考慮し，施行時には小児科や精神科とも連携し，口腔内手術に起因する精神的ストレスの緩和に留意する必要があると考えられた。
2011-04-25

口蓋裂二次手術後に摂食拒否を起こした口唇口蓋裂例

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