ニレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いた口蓋裂術後症例の歯茎音構音動態の分析 : 「口蓋化構音」は "palatalized" か "retracted" か
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「口蓋化構音」は, 歯茎音が舌尖ではなく舌の中央部と硬口蓋の後端で産生された歪み音と定義されているが, 実際の構音操作は口腔内の観察や聴覚的印象ではわかりにくい. そこで唇顎口蓋裂術後の10症例を対象として, 歯茎音/t//s//ts/産生時の舌と口蓋の接触パターンをエレクトロパラトグラフィを用いて分析した. 結果, 接触部位の後方化が最も多く (16音) , 次いで広範囲な接触 (6音) , 口蓋前方と後方に二重に接触 (4音) , 前方化 (3音) , その他であった. 後方化していた16音について人工口蓋の前, 中, 後部への接触数を見ると, (1)前方部への接触はあるが中・後部により多く接触 (3例) , (2)中・後部のみに接触 (9例) , (3)後部のみに接触 (4音) と, 後方化の程度もさまざまであった. これらをすべて「口蓋化構音」としてよいかどうか? また英語表記は“palatalized”か“retracted”か? 今後, 国際的な評価基準との整合性を図るため, 異常構音の分類, 名称について再検討する必要がある.
- 2010-01-20
著者
-
山本 一郎
山本歯科医院 矯正歯科クリニック
-
藤原 百合
聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部言語聴覚学専攻
-
山本 一郎
聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部言語聴覚学専攻
-
藤原 百合
聖隷クリストファー大学
関連論文
- 最新のエレクトロパラトグラフ(EPG)の臨床活用と今後の展望(福祉と音声処理,一般)
- エレクトロパラトグラフィ (EPG) を用いた口蓋裂術後症例の歯茎音構音動態の分析 : —「口蓋化構音」は“palatalized”か“retracted”か—
- チームコラボレーションによる軟口蓋挙上装置(PLP)の活用と調整
- 高知県立療育福祉センターにおける口蓋裂集学的治療の試み
- ニレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いた口蓋裂術後症例の歯茎音構音動態の分析 : 「口蓋化構音」は "palatalized" か "retracted" か
- 神戸カンファレンスにおける口蓋裂集学的治療への取り組み
- 顎裂部骨移植術の術後評価にパーソナルコンピューターの汎用ソフトを使用する試みについて(第三報)
- 顎裂部に対する二次的自家骨移植の術後評価にパーソナルコンピューターの汎用ソフトを使用する試みについて(第二報)
- 口唇粘膜弁を用いた顎裂形成術の反省
- 矯正治療完了後に言語障害を主訴として当院を訪れた年長症例について : 治療経過から長期管理のあり方を探る
- 口唇口蓋裂児を持った母親の授乳経験のアンケート調査
- 口蓋裂術後の諸問題とその解決--言語治療の観点から (特集 口蓋裂二次修正術)
- 口蓋裂術後の鼻咽腔閉鎖機能不全例への軟口蓋挙上装置(PLP)の活用
- 成人唇裂・口蓋裂患者に対する化粧の心理的効果 (第2報)
- 唇裂口蓋裂の女性の化粧行動と人格特性の検討
- 構音習得に長期間を要した両側唇裂口蓋裂例の指導経験
- 最新のエレクトロパラトグラフ(EPG)の臨床活用と今後の展望(福祉と音声処理,一般)
- エレクトロパラトグラフィ(EPG)臨床活用に向けた日本語音韻目標パターンの作成と構音点の定量的評価指標の算定
- エレクトロパラトグラフィを用いた構音のホームトレーニングの効果 : 通常の訓練で改善が難しかった症例について
- 我国におけるエレクトロパラトグラフィを用いた研究の動向
- 我国におけるエレクトロパラトグラフィーを用いた研究の動向について
- EPGを用いた構音のホームトレーニングの効果 : 通常の訓練で改善が難しかった症例について
- エレクトロパラトグラフィー(EPG)を用いた口蓋裂異常構音に対するホームトレーニングの試み
- 鼻咽腔閉鎖機能不全に起因する構音障害に使用する発音補助装置の適用と作製法について : 症例を通して
- 原因不明の鼻咽腔閉鎖機能不全症をきたした成人症例の治療経過
- 非接触光学式動作解析システムによる smile 時の口唇運動の記録と解析
- 青年唇裂患者に対する化粧の心理的効果と課題