ミセルにおけるペリレンの蛍光消光現象を利用する微量金(III)の選択的定量

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ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤ミセル中のペリレンの蛍光が，金（III）によって選択的に消光されることを見いだした．硝酸は金（III）のミセルへの取り込みを促進し，塩酸を用いた場合よりも金（III）の消光作用が著しく大きくなったが，硝酸自体も消光作用を示した．ペリレンの蛍光に及ぼす硝酸の影響は，芳香環を持たない界面活性剤ミセルへの可溶化によって，最小限に抑えることができた．検討した界面活性剤のうち，アルキル鎖長が最も短く，かつオキシエチレンの重合度の高いBrij-35を用いたとき，金（III）の蛍光消光作用を最大とすることができた．1 M硝酸及び0.05％（w/v）Brij-35のとき，5×10−8〜5×10−7 Mの範囲で金（III）の検量線が得られ，金（III）に対する感度を表すStern-Volmer消光定数Ksvは1.28×107 M−1であった．これに対し，白金（II），パラジウム（II）及び鉄（III）のKsv（M−1）は4.3×104，8×103及び5×102であり，金（III）と比べて著しく小さな値であった．また，アルミニウム（III），マンガン（II），コバルト（II），ニッケル（II），銅（II），亜鉛（II），銀（I），ズズ（IV）及び鉛（II）については，1×10−4 M存在してもほとんど消光作用を示さなかった．以上のことから，微量金（III）の選択的定量への本法の適用の可能性が示された．
社団法人　日本分析化学会の論文
2009-08-05

ミセルにおけるペリレンの蛍光消光現象を利用する微量金(III)の選択的定量

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