後腹膜腔へ進展した急性膿胸に対して胸腔鏡下手術が有効であった1例
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概要
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急性膿胸に対する胸腔鏡下手術の有用性が近年報告されつつある.我々は膿瘍が後腹膜腔まで進展した急性膿胸に対し,胸腔鏡下手術を行い救命し得た1例を経験した.症例は41歳,男性(路上生活者),呼吸困難と腰背部痛が出現し,当院へ救急搬送された.胸部CTにて右胸腔内に気泡を伴った多量の胸水を認め,膿胸が疑われた.膿瘍は後腹膜腔へ進展していた.胸腔ドレーンを挿入し,持続吸引を開始した.その後もCTにて膿瘍の残存が疑われたため,胸腔鏡下手術にて掻爬・ドレナージ・洗浄を施行した.胸腔内下部背側から後腹膜腔の膿瘍への交通孔が確認でき,同部から胸腔内へ多量の膿汁がドレナージされた.術後13日目に胸腔ドレーン抜去,25日目に退院した.術後1年経過し再発を認めず,患者自身も社会復帰を果たしている.重症急性膿胸例であっても,胸腔鏡下手術で適切な手術を行うことにより高い治療効果が得られると考える.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文
- 2009-09-15
著者
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羽隅 透
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 呼吸器外科
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大石 久
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 呼吸器外科
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齋藤 泰紀
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 呼吸器外科
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阿部 二郎
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 呼吸器外科
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斎藤 泰紀
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター呼吸器外科
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大石 久
東北大学加齢医学研究所 呼吸器再建研究分野
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大石 久
静岡県立総合病院呼吸器外科
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羽隅 透
独立行政法人国立病院機構仙台医療センター呼吸器外科
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大石 久
東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野
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羽隅 透
仙台医療センター呼吸器外科
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