IgA腎症-小児と成人-組織所見からみた違い
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概要
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IgA腎症は最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であり,発症が小児期から成人に至る幅広い年齢層にわたることから,腎専門医が診療にあたる機会が最も多い疾患である。しかし,診断および治療は一般に腎生検組織所見に基づいて行われるが,小児と成人では発見の動機,治療のタイミングが異なり,わが国においてさえ治療方針が異なるのが現状である。 われわれが行った小児および成人IgA腎症の早期診断例を対象とした検討で,成人例は小児と比較し早期からメサンギウム基質の増生や尿細管間質障害といった慢性病変が形成されやすいことが示唆された。また,このような組織所見の違いを生じる原因の一環に活性化マクロファージが関与している可能性を見出している。 このような結果を踏まえれば,成人例ではより一層早期の診断ならびに治療開始が必要と考えられ,定期健診の重要性とその一般への啓蒙を推進するとともに,診療指針についても再検討が必要と考えられる。
- 日本小児腎臓病学会の論文
- 2007-11-15
著者
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