膵癌術後化学療法中に門脈血栓症をきたし, アンチトロンビンIII製剤, danaparoid sodium 併用投与が奏効したC型肝硬変の1例
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概要
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症例は75歳,女性.C型肝硬変に併発した膵尾部癌術後肺転移に対して化学療法中に肝機能悪化をきたし入院となった.腹部CTにて門脈左枝を中心に本幹から右枝におよぶ血栓形成を認め,Child-Pugh scoreは10点と悪化しており,門脈血栓症を伴う肝不全と診断した.門脈血栓症に対して,アンチトロンビンIII(AT-III)製剤,danaparoid sodium併用投与を行ったところ,投与2週間後には門脈血栓は消失し,1カ月後にはChild-Pugh score 6点と改善した.AT-III製剤,danaparoid sodium併用投与による副作用,合併症は認めなかった.肝硬変に伴う門脈血栓症に対してAT-III製剤,danaparoid sodiumの併用投与は安全かつ有用であり,今後有効な治療となりうる可能性が示唆された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 2009-07-25
著者
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