1型糖尿病の発症阻止と寛解誘導
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概要
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近年,抗CD3抗体などの生物学的製剤を中心に,ヒト1型糖尿病の分野においても,疾患の治癒・寛解を目指し治療法の開発研究がすすめられているが,安全性,経済性などの問題を抱えている.インスリンは,ヒト,NODマウスの1型糖尿病発症に関連した主要自己抗原である.膵島浸潤T細胞に反応せず,しかも,血糖降下作用を維持する変異インスリン(B鎖16位残基アラニン置換)のみを発現するNODマウスでは,インスリン自己抗体が発現せず,糖尿病も発症しない.NODマウスに,poly I:Cをアジュバントに,インスリンB鎖ペプチドを皮下投与すると,制御性T細胞だけでなく,攻撃側のeffector細胞も膵島内に誘導する.一方,インスリンB鎖16, 19位残基を置換したアナログペプチドを,コレラトキシンをアジュバントに経鼻投与すると,強力な糖尿病発症の抑制と高血糖からの寛解を誘導した.このように,膵島抗原を用いた免疫学的治療法は,投与ルートやアジュバント,補助療法に改良を加え,制御性T細胞を優位に誘導することより,今後,ヒト1型糖尿病において,安全な発症阻止,寛解誘導の治療法となる可能性がある.
- 2008-12-31
著者
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